血清電解質と浸透圧について。ハ2002/09/27。ヒ
 私たちは一日約150リットルの尿を腎臓の糸球体でろ過しており、それに伴って食塩にして約1000グラムのナトリウムを出しています。150リットルというのは私たちの細胞外液量の10倍にも当たり、そのまま排泄したのでは一日とて生命はもちません。ところが腎臓はこの量に対して99パーセントを再吸収するという仕事をして、僅かに1パーセントに当たる1.5リットルを排泄しているに過ぎません。腎臓の尿細管で再吸収が行われているからです。結果として一日10グラム前後の食塩が尿として失われています。食塩の組成であるナトリウムやクロールはカリウムなどと共に、血液中では血清電解質と呼ばれ、ある基準範囲内に値が保たれており滅多なことでは変動しません。それでは血清電解質の役割とはどういうものでしょうか。一口で言えば水を引きつけて血管を膨らませ血圧を維持していることです。
 なめくじに食塩をふりかけてみて下さい。なめくじの体液は食塩に引っ張られて外に出てしまい、やがて縮んで見えなくなります。このような力を浸透圧と呼んでいます。
 皆さんは「敵に塩を送る」という故事を聞いたことがありませんか。上杉謙信が今川・北条の塩止めで苦しんでいる武田信玄に塩を送ったという逸話から来ています。
 このように食塩は生命にとってとても大切なものです。食塩を全く摂取しないでは生きて行けません。
 しかし「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ということわざがあります。高血圧や動脈硬化を起こすことは皆さんがよく御存知の通りです。
             愛慈胃腸科内科医院   白井 昭雄

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