なぜ糖尿病で目が悪くなるのか(2003/03/27) 「糖尿病で目が悪くなる」と、よく言われます。実際、糖尿病は日本人の失明原因の第一位です。 では、どうして糖尿病で目がみえなくなるのでしょうか? 糖尿病は簡単に言えば「糖分をエネルギーに変換できなくなった状態」です。食べた糖分が使えないまま血液中に残ってしまい、血糖が高くなります。 さて血糖が高い血液は、ねばいため、全身の血管がしだいに詰まってきます。網膜でも血の巡りが悪くなってきます。すると網膜は、なんとか血液を確保しようとして、新生血管という新しい血管を目の中に作りはじめます。 これは一見良いことのように思われます。しかしこの新生血管は非常にもろく、ある日突然破裂して眼の中に出血を起こします。(硝子体出血)。すると、急に目が見えなくなってしまいます。 これを予防するためには、糖尿病の治療が大切です。初期から血糖をコントロールできれば網膜症などの合併症は起こりません。 すでに網膜症が発症している場合は、レーザー治療を行い、出血を予防します。網膜の出血しそうな箇所をレーザーで焼きます。若干視機能が低下することもありますが、硝子体出血を予防するためには必要な治療です。 もし不幸にして硝子体出血が起こってしまった場合でも、最近は手術が進歩して、失明を防げることも多くなりました。しかし良好な視力まで回復するのはむつかしいことも多く、初期からの糖尿病のコントロールが最も大切といえます。また網膜症は硝子体出血を起すまで自分では気付かないことが多いので、糖尿病の方はよく見えていても定期的に眼科で検査を受けてください。 国立善通寺病院眼科医長 小木曽 正博 |
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