新興・再興感染症(2005/03/01)
 1976年に在郷軍人病という名で、レジオネラ症が認知されて以来、三十年間に三十種類以上の新興感染症が出現。さらに旧来のものが再興したりで、現在は感染症の時代となっています。この数年だけでも次の通り。
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【SARS(重症呼吸器症候群)】
  広東から始まり、有症者がやってきたり、空港にサーモグラフィーを設置するなど
  大騒ぎとなった。
【E型肝炎】
  北海道で生焼けの豚肉を食べ発症。
【高病原性鳥インフルエンザ】
  京都などでニワトリが大量死。東南アジアではヒトからヒトへ直接感染している。
  問題はウィルスが変異し常態的にヒトへの感染能力を獲得することである。新型の
  ため、誰も抗体を持たず大流行し、死者多数となる恐れがある。
【ノロウィルス胃腸炎】
  高齢者施設で七人が死亡したことで、まだ記憶に新しい。
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 感染症のやっかいな点は一個人、一医療機関で対処できず、行政当局さらには国家間での事態となり、たとえ地球の裏側での発生でも注意が必要なことです。これらはワクチンもなく個人では通常の石鹸、流水の手洗い、うがい、動物との濃厚接触の禁止、調理器具の管理、体力維持など通常の風邪程度の対策しかできないのが実状です。情報収集を密にして行政関連部署などで水際作戦をとることが主体となります。実際自分で上記患者を診療した経験もなく遭遇すれば右往左往するばかりだと、戦々恐々としています。

山下内科医院 山下 正樹

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