〜 スズメバチ・激烈アレルギーに対する自己注射認可について 〜(2005/10/06)

 毎年、スズメバチに刺され死亡するという事故がニュースになります。特に林業に携わる人やハイキング、登山などで野山に入って蜂のアレルギーで毎年三十人前後の方が亡くなっています。その他にも食物などで激しいアレルギー反応(アナフィラキシー)を来たす致命的なケースが多数報告されています。
 既にアメリカではそのような例に対して1980年から自己注射が発売許可されています。日本でもその必要性は早くから言われていたものの、症状が出た直後に自分で注射をするということの危険性から認可が遅れていました。
 1995年から林野庁の職員十五名刺傷四十一回で治療研究が行われ、救命率97.5%という成績を受け、ようやく2003年8月に蜂毒に対し、成人のみアナフィラキシー補助治療剤『エピペン』が承認されました。
 食物アレルギーのある小児では理事長自らが朝日新聞に意見を投稿したりして本年4月から認可され、食物薬物アレルギーに対しても使用できるようになりました。アメリカに遅れること25年、薬害エイズしかりアスペストしかりで先進医療を取り入れる際の日本政府の体質でしょうか。
 処方医は講習を受けて登録が必要であり、患者も十分な説明と実技指導を受けた上に自費で購入するなど、まだ幾つもハードルを設けています。
 注射は三十分以内なら100%、60分以内で89%の救命率で、60分を超えると18%と急激に低下し、刺されてから早い注射が有効とのデータが出ています。蜂や食べ物でアナフィラキシーショックを経験された方は最寄りのアレルギー登録医にご相談ください。

◆ 情報関連サイト ◆
http://www.epipen.jp/
http://www.anaphylaxis.jp/list/index.html

にしかわクリニック  西川 清


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