動脈硬化危険因子としての 〜喫煙影響〜(2006/08/01)


◆ 数字が語る「タバコの害」
 喫煙者は非喫煙者に比べて平均寿命が短く、壮年期死亡が多いことが従来から指摘されています。タバコは「百害あって一利なし」、ちょっと数えただけでも十を超す病気のもとであることが確実視されています。タバコの煙には二百種類以上の有害物質と四十種類以上の発がん物質が含まれています。中でも、ニコチン、タール、一酸化炭素は「三悪」で、一酸化炭素濃度は一〜五%と自動車の排気ガスに匹敵するほどです。

◆ タバコが悪影響を及ぼす疾患
 タバコに深く関連している病気といえば、肺がんや肺気腫等の呼吸器疾患がよく知られています。その他、消化性潰瘍等の消化器疾患、咽頭癌、食道癌、腎臓癌、膀胱癌など悪性疾患の危険因子であることも解っています。もうひとつ重要なことは、虚血性心疾患、大動脈瘤、末梢血管閉塞症、脳血管疾患、糖尿病血管合併症等の動脈硬化を原因とする疾患への影響です。

◆ 血管への悪い影響
 タバコ煙に含まれるニコチンは副腎髄質を刺激し、交感神経系を刺激して血管の収縮と血圧上昇、心拍数増加をきたします。さらに赤血球(ヘモグロビン)と結合した一酸化炭素はコレステロールの変性を促進し、血管内皮を障害するとともに善玉コレステロールを減少させ、動脈硬化を促進します。これが喫煙によって生じる慢性的な酸素欠乏と相まって全身の筋肉や臓器への血流悪化をきたします。

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 高血圧症、糖尿病、高脂血症を有する方、あるいは既に虚血性心疾患、脳血管疾患、末梢血管閉塞症等の動脈硬化疾患の既往歴を有する場合、原疾患の治療のみならず危険因子の除去のために禁煙が重要である事を認識してください。


田所医院・田所 久徳

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