起きぬけが危ない!(2006/11/01)

 高血圧の基準は絶対的なものではなく、医学の進歩の中で変換し続け、今後も解釈が大きく異なってくると思われますが、今最も新しいのは「日常生活に支障がなければ、血圧は低ければ低いほど良い」という考え方です。血圧というものは、我々の晩年の生活環境を大きく左右します。そして、知っているようで知らない血圧のひとつに早朝高血圧があります。
 睡眠中の血圧は、正常な人で上の血圧が100mmHg以下、場合によっては60〜70mmHgまで下がる人もいます。このような低い血圧で日中を過ごす事となりますと、立ちくらみがしたりして日常生活に支障が出るため、人間の体は普通、朝方には血圧が高くなるような仕組みになっています。しかし早朝高血圧の人の場合は、朝の血圧が異常に高くなり、正常な範囲内に収まりきらない訳で、このような人の場合は、病院で血圧を測る時間帯には血圧が正常なものですから、高血圧とは認識されないことになります。このように非常に捕まえにくい早朝高血圧ですが、これがなぜ問題になるかといいますと、早朝、起床前後に脳卒中や心筋梗塞などが多発することに関係があるからです。
 そこで、診断には精度の高い家庭血圧計による自宅測定が不可欠となります。最近の自動電子血圧計もかなり進歩し、信頼おける測定装置であることが認識されてきています。
 そして、この早朝高血圧を克服するために一番大切なことは、ご自分に最も適した降圧薬による薬物治療と生活習慣の改善です。
 軽い高血圧の患者さんでは、生活習慣の改善により、降圧薬を減らしたり、服用を中止したりすることができるのですから。


森医院 ・ 森 史郎

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