「歩くと足が痛い」〜動脈硬化の成れの果て〜(2007/01/04)

 歩くと足が痛む、と言っても症状や原因は様々です。例えば、かけっこで頑張った子はその翌日、足が痛みますが、これは生理的な筋肉痛で病気ではありません。
 では、歩くと足が痛い病気にはどんなものがあるでしょう。
@ 歩くとひざや足の関節が痛い…これは足関節の捻挫や変形性膝関節症、痛風などが原因。
A 歩くと腰が痛くなり、足がしびれるが前かがみになると楽になる…これは背骨の中の神経が通っている管が年とともに狭くなり、神経が圧迫される腰部脊柱管狭窄症が原因。
B 歩くと大腿やふくらはぎの筋肉が張って痛くなるが一〜二分休むとすぐ直ってまた歩ける。
この三番目の症状が閉塞性動脈硬化症という血管の病気です。動脈硬化が進み、足の動脈が狭くなったり詰まるとこのような症状が出始めます。症状が出た時にはすでに血管は随分傷んでいるわけです。もっと酷くなるとつま先に潰瘍を作ったり、足が腐ってきたりします。この病気で足の血圧が手の血圧の四割以下に落ちてしまった人の五年生存率は40%です。胃がんの70%、大腸がんの80%より悪いのですから深刻です。この病気が動脈硬化という全身疾患の一つであり、他に心筋梗塞や脳梗塞を合併することが多いからです。外来に来られた場合、80〜90%が喫煙者、50〜60%が糖尿病の方です。治療はまず禁煙。次に動脈硬化の原因となる高血圧、高脂血症、糖尿病などのコントロール、ストレスを避けて適度の運動をすることが大切です。初期であれば薬の内服、あるいは風船による血管拡張術がかなり効きますが、酷い場合は下肢切断を余儀なくされることもあります。ヘビースモーカーの方、Bの症状はありませんか?


独立行政法人国立病院機構善通寺病院
循環器系(心臓血管外科)部長 金香 充範

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