生体リズムについて(2007/06/01)


 ヒトの病気の発生時刻はある程度決まっている。気管支喘息発生時刻は明け方、脳・心筋梗塞は朝、蕁麻疹は夜、認知症の異常行動・せん妄は夜、高血圧症は早朝、さらに分娩数は深夜が昼間の2倍以上。これは太古から1日24時間、夜昼12時間ずつ、1年は12か月、潮汐は6時毎であり、進化の過程で遺伝的対応もなされているため。例えば脈拍は上記の数字12と6で、72/分がよいとされている。
 実はこれらの時を刻んでいる時計が体内にある(体内時計という。勿論、金属性ではない)。脳内視床下部にある視交叉上核がそれであり、ここに眼からの光刺激を受け、各種の酵素、ホルモン分泌を時間的に調整しており、1日のリズムを形成している(サーカディアンリズム)。
 このリズムの不調で、上記疾病の引き金となったり、不眠、うつ状態、不登校、不出勤社員等が引き起こされる。
 夜は暗いのがあたりまえで、現代のようにゲーム、テレビ、パソコン等から深夜に到るまで煌々と光を浴び続ければ、当然生体リズムは不調を来たす。正しいリズムを保つにはできるだけ早起きをし、早朝の約500ナノメーターの青緑色の光を浴び、夜はできるだけ暗くし、早寝を心掛ける。百マス計算の陰山先生らが現在キャンペーンを行っている「早寝早起き朝ごはん」は、リズム障害の予防に理にかなっている。

《キーワード》
・体内時計
・視交叉上核
・サーカディアンリズム
・光刺激
・夜の暗闇


山下内科医院 山下正樹


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