めまいと脳の病気(2007/11/01)


 めまいを起こす病気には、末梢性めまい、中枢性めまい、頚性めまい、心臓循環器疾患によるめまい、その他心因性めまいなどがあります。
 めまいは日常ありふれた症状で、皆さんも立ち眩み程度の軽い発作を時々経験していることと思います。今回は「めまい」で脳外科を受診した方の中に、「脳出血や脳梗塞」などの中枢性疾患が診断された患者さんを紹介します。
『小脳梗塞によるめまい』
 患者さんは76歳の女性。約2か月前にめまい発作(回転性めまい)を発症、嘔気嘔吐が強く、頭を上げることも身体を動かすこともできず、自宅で治療を受けました。4〜5日後、激しい回転性めまいは改善しましたが、体動時なお少し発生しました。トイレ歩行はフラフラが強く転倒の危険があり、家族の介助が必要でした。約1か月後、回転性めまいは消失しましたが、めまい(フラフラ)が強く続くため、当院を受診しました。神経学的には小脳性の運動失調症、平衡機能障害でした。脳CTで両側の小脳半球下面に脳梗塞が見つかりました。脳血管検査で椎骨脳底動脈(小脳、脳幹部の大切な血管)の一部に異常が見つかりました。患者さんは現在、リハビリおよび外来治療でめまい(フラフラ)は改善消失し、再発は見られていません。
 めまいは、身体のバランスを保持するシステムのどこかに異常が起きると発生します。めまいの中でも特に中枢めまいは、脳に関係する病気によって発生し、生命に関係する重大な病気が数多く含まれていますので、特に高齢者では脳梗塞の危険性があり、注意が必要です。


大杉脳神経外科医院
大杉 保




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