腰部脊柱管狭窄症のおはなし(2008/05/01)


こんな症状はありませんか?
 歩き出てしばらくすると、下肢にしびれや痛み、つっぱり感が現われる。歩き続けるうちにこれが徐々に強くなり、歩きづらくなる。ところが、姿勢を前かがみにしたり座ったりして少し休むと、しびれや痛みなどが無くなり再び歩けるようになる。しかし、再び歩きだすとまた同じ症状が現れる。

 これは間欠性跛行という症状で、腰部脊柱管狭窄症に特徴的です。腰部脊柱管狭窄症は、神経が通っている背骨の管が腰の部分で狭くなる病気で、高齢者に多発します。年をとると背骨が変形し、背骨の中を通っている神経やこれを栄養している血管が圧迫されやすくなります。その結果、腰痛および下肢のしびれ感や疼痛が出るのです。姿勢を前かがみにすると、背骨の中を通っている神経の圧迫が減り症状が軽くなります。逆に背筋を伸ばすと、神経が圧迫され血流も悪くなることから疼痛やしびれが出やすくなります。狭窄が進むと50mも歩かないうちにしびれなどの症状が強くなって歩けなくなり、5分間ほど立つだけでも症状が出たりします。生活上の注意点は、背筋を伸ばす動作や姿勢を避けること。また、杖や手押し車を使ったり、自転車に乗るなど腰の負担を減らすよう工夫することです。痛みをとるためには、薬物や神経ブロック療法がありますが、さらにコルセットを装着したり、牽引や温熱療法を用いることもあります。このような治療を3か月間行っても効果がない場合は、手術的治療を考えます。手術的治療の基本は、狭くなっている脊柱管を広くして神経の圧迫を取り除くことです。間欠性跛行の症状がある場合は、整形外科医にご相談ください。年齢のせいだと放置すると、どんどん症状が進行することがあります。



国立病院機構善通寺病院 井上 智人



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