嗅覚障害について(2008/06/02)

 においを感じられなくなることを嗅覚障害といいます。誰でも風邪をひいて鼻が詰まった時、においがわからなくなった経験があると思います。なかには風邪をひいていないのに、また、風邪が治った後にも、においを感じることができない場合もあります。 においを感じる神経は、鼻腔(鼻の中の空洞)の上方の部分の嗅粘膜にあります。においの粒子が嗅粘膜に付着することにより、においを感知することができるのです。嗅覚が障害されると、花の香りなどを楽しむことができません。また、味覚にも影響して食事が美味しくなくなってしまいます。焦げくささやガス漏れに気付くことができないため火災などの事故にもつながりかねません。 嗅覚障害には次の二種類があります。1.閉塞性嗅覚障害 風邪、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などが原因で鼻が詰まることにより、においの粒子が嗅粘膜に届かないために起こるものです。においがわからない原因の多くはこのタイプです。2.神経性嗅覚障害 においの粒子が嗅粘膜に届いているのに、においがわからないものです。インフルエンザなどのウイルス感染によって嗅粘膜が傷害される末梢性のものと、脳腫瘍や脳梗塞などによって大脳が傷害される中枢性のものがあります。 視覚や聴覚に異常がある場合には、ほとんどの人がすぐに気付いて検査や治療を行いますが、嗅覚が低下しても気付かずにそのままにしている人も多いように思われます。また、健康診断でも視力と聴力の検査はありますが、嗅覚の検査は無いために指摘されません。治療することにより嗅覚が改善することも期待できるので、早期発見・早期治療が必要です。


耳鼻咽喉科小野医院 小野 一郎


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