ある病院の●●科の閉鎖に関連して(2008/08/01)

  閉鎖に伴う患者さん達の転医は止むを得ないことであるが、それに関して色々考えさせられることがあった。その一つは当科関係の薬物の種類の多さとその副作用のことである。


 最近インターネットなどで薬物及びその作用・副作用の情報がほぼ公開同然になっているが、その中には個人的な症状や感覚のこともあり、誤解や中にはごく稀なものも含まれている。服薬自体は患者さんの自由であり、拒否することもできる。その事に関するインフォームド・コンセントが必要であるが、十分な時間をとることはなかなか難しい。それ故、患者さんの予備知識について、こちらも知っておく必要がある。これはテレビに関しても同じであり、ある心療内科関係の番組についてもできる限り見ておかないと患者さんの方がよくご存知の事もある。生涯学習?も辛いものだ。


 このように、我々が医師となった時代と比較して、医学・薬学・医療制度の変化は大変なもので、同年代の医師としては悲しさを覚えることもある。昔はもっと簡単であったような錯覚か、不勉強であったのかもしれない。


 この機会に今思うことは、患者さん達の今後についての不安と、社会の変化への対応を真剣に考えなければならないということであり、そうでなくても増加しているストレスと将来も向き合って行くしかないことである。


 ここ十年来、自殺者が3万人を超えていて、生きていくことの難しい現代、患者さんも含めた暖かい人間同士の結びつき−共生と、命を大切にする社会の構築を考えなければならない。特に子どもたちの時代を考えるとなお更である。


 


中島クリニック 中島 大作


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