おなかのかぜ(2009/01/01)

 


 夏の暑いころは細菌による食中毒が発生しますが冬場には「胃腸のかぜ」ともいわれるウイルスによる胃腸炎が多く見られます。これはかぜをひいて胃腸炎を起こすのではありません。


 冬の食中毒を起こすウイルスの代表はノロウイルスです。子どもから大人まで病気にかかります。ノロウイルスが口から入ると1〜2日の潜伏期の後、嘔吐、下痢、腹痛、発熱を主症状とする胃腸炎を起こします。病状は重症化することは少なく、絶食と適度の水分補給により数日で治癒します。しかし回復後もウイルスは一週間以上糞便とともに排泄されます。


 ノロウイルスに汚染されたカキや二枚貝を生で食べることで発病します。それはカキ本来のウイルスでなく、人から排泄されたウイルスが下水から河川を経て海に流入し、カキの体内に吸収され蓄積したものです。ノロウイルスは感染力が非常に強く数十個のウイルスで発病します。吐物や糞便と共に大量のウイルスが排泄され、処理した人の手やタオル、雑巾等を介して食物が汚染され食中毒を起こします。また吐物等が乾燥して空気中に浮遊し漂い、人の口に入り感染することもあり、学校や病院内の集団発生の感染様式と考えられています。


 予防としては、カキを生食しないこと、85度1分以上過熱すること、吐物や糞便の処理には手袋・マスクを着用し、使用したタオルや汚染された衣類は漂白剤に5分以上浸して水洗いします。汚染された床は漂白剤で浸すように拭きます。食品にウイルスが付かないように排便後や調理前に手洗いを十分行うことも大切です。


 診断を確定するためにノロウイルスを検出することは簡単ではなく病院ではできないことを心に留めておいてください。


 


吉田医院


吉田 翼


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