楽あれば苦あり(2010/03/01)

 世はまさにスピード時代、現代社会は車と電波とコンピュータに支配され、いわゆる間合いと遊びの少ない社会環境に振り回されている感じがする。この便利な社会構造が生み出している現代病は生活習慣病に代表される高血圧・糖尿病・脂質代謝異常・肥満などである。これら疾病は運動不足と食生活の乱れが習慣化して作られる国民病として注目されているもので、メタボ健診とその予防対策が急がれている。しかし、これら疾病が姿を見せてからではもう遅く、そうならないための生活習慣の見直しと対応が予防医学として重要なのである。


 昔は日常生活の大部分を人力に頼ってきたが、現在は全てが機械化・スピード化されて、昔に比べると比較にならないほど便利で楽な生活環境となった。この楽な生活スタイルが現代病の大きな誘因になっていることを認識していても、それに逆らった生活をあえて実行し続けることは困難で、現代病苦に悩まされている人がいかに多いことか。この現状を打破するためには、一人ひとりの自覚と努力を待つしかないのが現代医療の問題点であると思われる。


 昔から楽あれば苦あり、楽は苦の種、苦は楽の種といわれ、何事も楽ばかりを追い求めていると、その報いとして苦労の種を背負いこむことになるという諭しである。どんなことでも苦労を伴う努力をしなければ良い結果は得られないものであり、慢性疾患の方には常に治療を助けるための生活習慣の改善が求められている。習慣は容易に改められないが、それができないと真の医療は望めないのではないでしょうか。『一に運動、二に食事、しっかり禁煙、最後に薬』という厚生労働省標語を生かして健康維持を図りたいものです。


 


岩本内科医院  岩本 和幸


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