発見が遅れやすい高齢者の肺炎(2010/09/01)

 肺炎といえば、高熱がでて胸痛があり、咳、痰の多い病気というイメージがあると思います。若い方の肺炎はこのような症状がある場合が多いのですが高齢になりますと、典型的な症状を欠く場合がよくあります。


何となく元気がない――肺炎かも


 高齢の方は体の抵抗力が低下しています。病原菌が体のなかに入ってきても、それを排除しようとする反応(免疫力)が弱いため、発熱は高くなりません。痰が胸のなかにあっても、それを体外に出す作用も弱く、咳も強くなりません。「何となく元気がなさそうだ」と様子をみているうちに、急速に悪化することがあります。高齢者の肺炎は、発見の遅れやすい病気であるといえます。


 


食欲低下は重要な肺炎のサイン


 「何となく元気がない」という症状は、いろいろな病気の症状であり、病気でなくても、過労、睡眠不足などでもでてきます。私が重視しているのは、食事量が減ったか否かです。高熱、強い咳がなくても、高齢者肺炎の方は多くの人が食事量が著しく低下しています。「体がだるそうだ」というのは周囲の人からわかりにくいものですが、「食事が普段の半分くらいだった」「2、3口しか食べなかった」というのは気付きやすいものです。


 高齢者の方は基礎疾患(心臓病、糖尿病、腎臓病など)のある方が多く、肺炎になりますと急速に悪化します。高熱、強い咳などの症状がなくても、「何かしんどそうだ」「食事を食べなくなった」という症状に気付きましたら、早めにかかりつけ医にご相談してみてください。


 


 


藤沢医院  藤沢 孝男


 


 


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