冬場の風邪と喘息について(2011/02/01)

 冬場には、インフルエンザやその他さまざまな風邪がはやってきます。風邪をひいた後しばらくは、咳や痰が続くことがあります。しかし、咳がその後も長時間続く場合は、注意が必要です。


風邪やインフルエンザにかかると、ウイルスという物質が気管支につき、それにより体の中の炎症性物質(サイトカイン等)が増加し、気管支が刺激される恐れが増します。そのために、気管支喘息の発作が起きる可能性が高まるのです。喘息のある方は、もちろん症状が悪くなる可能性がありますが、今まで喘息のなかった人も、インフルエンザや風邪をきっかけに症状が出てくる可能性があります。 


 喘息の症状としては、息をする際にゼイゼイ、ヒューヒューといった音が出て息苦しいことがよく知られています。ただし、このような典型的な症状以外に、咳喘息といいまして、咳のみが続く場合があります。


 咳喘息の咳は、いくつかの特徴があります。喘息が基盤にありますので、夜間や明け方に咳がひどくなることが多いです。また、気管支が過敏になっているので、冷たい空気や、煙草の煙、会話、運動でも咳が誘発されることが多々あります。これらの症状が続くと、風邪薬や咳止めを買ってきて続けて飲む場合もあるかと思いますが、これらの薬がなかなか効かないのも特徴です。


 咳喘息の咳は喘息によるものなので、ステロイド剤や気管支拡張薬の吸入や内服が治療の中心になります。ただし、注意が必要なのは、同様の咳が続く病気で小児に多い百日咳もあります。最近は大人の方もかかることが多く、両方の区別が難しい場合もあります。百日咳は抗生物質が必要であり、治療も全く異なります。このため、冬場の長期の咳が続く場合は、かかりつけ医に相談してみることをお勧めいたします。


 


愛慈胃腸科内科医院  白井 哲


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