5歳児健診(2011/04/01)

 みなさんは「健診」というと、どのようなものを想像されますか?身長や体重を測って、はだかになって胸に聴診器をあててもらうという風景を思い起こすのではないでしょうか。健康診断・健康診査を略して健診と言いますので、当然と言えば当然です。そうでない健診なんてあるのでしょうか。あるのです。それが、5歳児健診です。


 善通寺市は、全国に先がけてこの健診に取り組んでいます。今回は、このことについてお話しましょう。


 この健診の特徴は、身体ではなく発達やこころの健診であることです。そのため、幼稚園や保育所に発達の専門家が出向いて行き、集団を観察することから始めます。また、おうちの方に家庭での様子をおうかがいすることも大切な要素です。身体の診察はありません。この健診は、「発達障害」という病気を早めに発見するのに有効です。発達障害とは、「一見、何も問題がなさそうに見えるけれども、何らかの特性を持っていて、本人は困っているお子さん」の総称です。例えば、次のようなものがあります。


 人とのやり取りが苦手、ことばの意味合いをつかみにくい、集団で遊ぶことが苦手、じっとしていられない、思いもかけない行動が多い、集中力の持続時間が極端に短い、不注意である…。親の立場からは、「育てにくい」と感じられることがあります。このような子どもたちは、その特性をまわりが理解して、ていねいに育てることが大切になります。


 また、発達障害でなくとも、子どもを「育てにくい」と感じている場合は、親と子のあいだにボタンのかけちがいが生じていることがあります。放っておくと、悪循環に入ってしまい、子どものこころの育ちによくない影響を与えることがあります。ちょっとしたことでうまく行き始めることは多いものです。これをはやめに見つけることも、この健診の重要な目的です。


 


国立病院機構 香川小児病院


乳幼児健診センター 児童心療内科


牛田 美幸


一覧に戻る

Copyright (C) 2001-2006 Nakatado gun & Zentsuji city Medical Association. All Rights Reserved