アスベストによる肺の病気について(2011/09/01)

 環境省によると、岩手、宮城、福島の被災3県で発生したとみられるがれきのうち、撤去が完了したのは3割強の約700万トンだそうです(7月上旬)。行方不明者を慎重に調査したり、東京電力の原発事故の影響で処理できないなどの事情があり、十分進んでいません。


  がれき処理は、ほこり、アスベストなどを吸い込む可能性があるため、特殊なマスクが必要です。


 さて、アスベストの輸入は、戦後の経済復興と共に増加し、72年にWHOがアスベストの発がん性を明確にし、86年にILOが危険性の高い青石綿などを使用禁止する石綿条約162号を採択した後も、90年初頭まで大量輸入し、使い続けてきました。


 アスベストは、糸や布に織れるしなやかさを持ち、燃えず腐らず、引っ張りに強く保温性があり、かつ安価だったため、自動車をはじめとする各種産業機械のブレーキ、工業用建築物、住宅用資材の屋根材や壁材などに利用されてきました。


 そのため、アスベストを吸い込んだために起きる病気は、直接工業用資材を作っていた仕事だけでなく、自動車産業や機関車・船舶、電気工事、建築関係など多くの職業と関連があり、吸入後30〜40年たって症状がでてくるため、これからも増加すると考えられています。


 最も多い病気は気管支炎で、冬場に3ヵ月程度咳や痰が続く場合は要注意です。また、肺を保護する胸膜に病気がおきるため、呼吸や運動に関係のない胸の痛みが続くこともあります。


 病気が進行すると呼吸が苦しくなり、日常生活にも制限が必要になり、酸素投与が必要になることもあります。


 肺がんなども発生しますから、早期発見には胸部レントゲン写真が必要で、市の行う肺がん検診は、ぜひ受ける必要があります。


 


 善通寺診療所  藤原 高明


一覧に戻る

Copyright (C) 2001-2006 Nakatado gun & Zentsuji city Medical Association. All Rights Reserved