慢性腎臓病と貧血(2011/12/01)

慢性の病気による貧血


 慢性の病気が原因となって貧血を来す事があり、「二次性貧血」または「症候性貧血」と呼んでいます。原因疾患には、関節リウマチなどの慢性炎症性疾患や慢性の感染症、悪性腫瘍、肝臓病、消化器の病気など様々な疾患があります。そのなかで、比較的頻度が高い原因として慢性腎臓病があります。


慢性腎臓病・腎機能低下による貧血


 腎臓は様々なホルモンを分泌しています。そのひとつに、赤血球を造る働きを促進するエリスロポエチンというホルモンがあります。腎臓の働きが低下すると腎臓からのエリスロポエチンの分泌が減り、赤血球を造る能力が低下することで貧血になります。このようにしておこる貧血を「腎性貧血」といいます。


腎性貧血の症状


 赤血球は体の隅々に酸素を運ぶ役割を持っています。赤血球が減り「腎性貧血」になると、疲れやすい、動悸・息切れ、めまいなどの症状が現れます。また、貧血状態では全身の酸素不足が起こり、それを補うために心臓には常に負担がかかります。ところが、貧血は徐々に進行するので、体が症状に慣れてしまって気がつかない場合もあり、注意が必要です。


治療について


 貧血には、体の鉄が不足してヘモグロビンの産生が不十分になることで起こる「鉄欠乏性貧血」がありますが、「腎性貧血」とは原因が異なり、治療方法も違います。よく貧血は鉄を補給すればよいといわれますが、腎性貧血は鉄剤だけを補給しても改善しません。


腎臓機能が低下している慢性腎臓病患者さんへ


 血液検査の値で貧血かどうか分かりますので、貧血の症状が悪化する前に適切な治療をすることが大切です。また原因不明の貧血に対しては、腎臓機能低下が潜んでいないか調べる事も重要です。


 


田所医院  田所 久徳



 


 



 


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