甲状腺疾患について(2012/02/01)

 甲状腺疾患は、稀な病気のように思われていますが、実際は日本人成人女性には比較的多い疾患です。
  まず甲状腺は、甲状腺ホルモンを合成分泌する内分泌腺で、前頸部に蝶々のような型で存在していますが、見た目ではわかりません。
 甲状腺ホルモンは、糖・蛋白・脂質代謝に関与し、人間の細胞に活力を与え、体温を上昇させたり成長発育を促したりするホルモンです。
甲状腺ホルモンは、ヨウ素を原料として合成されるため体内に取り込まれたヨウ素のほとんどが甲状腺に蓄積されます。最近よく耳にするところでは、福島第一原発事故による放射性ヨウ素131(T−131)の人体への影響が言われています。放射性ヨウ素の半減期は8日ですが、生物学的半減期は120日と長期となり、このため甲状腺内に取り込まれた放射性ヨウ素の濃度が高くなって、若年者では甲状腺癌の原因となる可能性が指摘されています。結節性または片側性甲状腺腫は、腫瘍性変化を疑います。
 次は、ビマン性甲状腺腫、機能亢進症と機能低下症についてお話します。
 甲状腺機能低下症(橋本病)は、日本人成人女性の10%近く存在し、発症するのはそのうち20%ぐらいで、症状は甲状腺腫・顔面浮腫・嗄声・脱毛・皮膚乾燥・寒がり等です。
 甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病)の症状は、甲状腺腫・眼球突出・手指振戦・動悸・暑がり・発汗・体重減少(食べても食べてもやせる)等です。
 橋本病・バセドウ氏病は、家族性に発症することが多い自己免疫疾患です。
 前記のような症状があり、前頸部の腫れが気になれば、一度甲状腺の検査を受けてみてください。
 甲状腺疾患の大部分は、早期発見し適切な治療を受ければ心配いりません。


                                        中島医院 中島雄作         


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