ロタウイルス胃腸炎と予防接種(2012/05/09)

 

  ロタウィルス胃腸炎は、ほとんどの子どもが5歳になるまでに1度はかかる病気です。毎年120万人が発症し、そのうち8万人近くが入院治療をしています。子どもでは、ロタウィルス胃腸炎を発症した15人に1人は入院が必要になります。この病気は、かかると最も重症化しやすい乳幼児の急性感染性胃腸炎といわれています。

毎年冬から春にかけ流行が見られ、ピークは4月が多いです。特に生後3か月以降、母親からもらった免疫が無くなってきて初めて感染した時が重症化しやすいといわれています。そもそも赤ちゃんは、身体の70%が水分で構成されているため、月齢が低い赤ちゃんほど、重症化すると脱水などによる体の負担が大きくなります。

症状は、白っぽく米のとぎ汁のような下痢や噴水のような嘔吐を繰り返し、それによって脱水を起こしやすくなります。脱水のほかに、意識障害やけいれん発作などが起きることもあり、入院が必要になる場合もしばしばあります。

この病気の原因は、ロタウイルスというウイルスです。これは、環境に強く乾いたところでも約10日間生きています。また、石けんや消毒用アルコールにも強いため、ほ乳瓶の消毒液などの塩素系漂白剤で、しっかり消毒しなければ死滅しません。

このウイルスは、主に糞口経路で感染します。感染ルートは、患者さんの便や吐いた物から、何らかの経路で家具・タオル・おもちゃなどにウィルスがつき、そこから手・食べ物につき、口から体の中に入り、小腸に行き、発症します。しかし、何度か感染を繰り返すうちに免疫がつき、発症しても症状は軽くなるとされています。

この病気は、衛生状態をよくするなどの一般的な手段で感染を防ぐことは非常に難しく、確実な予防方法としては、現在のところワクチン(内服液)しかありません。生後6週から接種し、24週までに1か月以上の間隔をあけ、2回接種します。まだ現在は自費でしかできませんが、将来その他の予防接種と同じようにできるようになると思います。

  

                                    安藤医院   安藤 直明                

 

                   


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