ピロリ菌の除菌治療をして胃癌予防(2013/01/04)

 前回2012年7月号では、前田純先生がヘリコバクター・ピロリ菌についてお話を載せてくださいました。今回は、ピロリ菌と胃癌との関連についてお話させていただきます。

我が国では40年以上前から胃癌検診が行われていますが、未だに毎年5万人もの胃癌患者さんが亡くなっています。バリウムの検査を毎年受けているだけでは、胃癌の早期発見には不十分であることがわかってきました。

1994年、WHOはピロリ菌が胃癌の確実な発癌因子であると宣言しています。その後各種のデータにより、現在胃癌の95%以上がピロリ菌と関係があるといわれています。ピロリ菌に感染している人は、感染していない人の20倍、胃癌になりやすいというデータがあります。また、ピロリ菌の除菌治療を行うことで、胃癌の発生を3分の1以下に減らせることがわかりました。

除菌治療は、早く行うほど胃癌予防効果があるといわれています。前回にも書かれていましたが、ピロリ菌は、免疫力の弱い幼児期に感染して胃の中に住み着いているので、できるだけ早い時期に除菌治療をすることが望まれます。日本ヘリコバクター学会、日本消化器病学会が厚生労働省に働きかけ、近いうちに胃炎に対するピロリ菌の除菌治療が保険適用になるようです。

抗生物質2種類と胃の薬を1週間飲むことで、約8割の人がピロリ菌を除菌することができます。一次除菌に失敗した人は二次除菌で、またその約8割の人が除菌できます。まだ除菌をされていない方は、早めにピロリ菌の検査を行い、陽性の方は早めの除菌治療をお勧めします。

 

                         善通寺病院 内科   福田 直子

 


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