認知症、早期発見のすすめ(2013/03/01)

まず認知症は病気であり、その種類によっては治るものや、早期発見・早期治療により症状の進行を遅らせることができる場合、症状を改善させることができる場合があります。

認知症は「正常に発達した知的(脳)機能が何らかの原因で低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態」といえます。言い換えると、家庭人として社会人として「一人前」でなくなった状態ともいえます。

 認知症は誰にでも起こりうる疾患です。近年特に注目されており、TV番組やCMなどで啓発もされ、一般的にも認識が向上しています。しかし、実際に診断に至るには、患者さんやご家族が自ら病院を受診されるまで待つしかなく、治療の遅れにつながる一つの要因となっています。また、認知症の症状は人によって現れ方が異なり、患者さんの中に認知症が潜んでいても、医師ですら短い診療時間では気付いてあげられないこともあります。

 早期発見のためには、本人や家族、周囲の人が「あれっ?」「ひょっとして…?」と、日常生活や社会生活を送っている際に違和感を覚えた場合には、受診のきっかけとすべきであると思います。(放置をすれば症状は悪化し、治療困難になります。)

 老年精神医学雑誌によれば、受診が遅れる理由としては、「歳だから・高齢だから」「症状が軽くて困っていない」「治療しても仕方がない」「受診を勧めにくい」「本人が嫌がる」「どこに行ったらよいかわからない」などの理由が挙げられていました。認知症においては、治療の開始が早ければ早いほど、症状の改善や維持が高い確率で認められています。したがって、「早期発見⇒早期診断⇒早期治療」が何よりも大切なのです。

 そして、「物忘れ」は認知症の代表的な症状の一つですが、「物忘れ=認知症」ではありません。先に述べたように、ご自身やご家族が違和感を覚えた際には、ぜひ受診されることを強くお勧めします。

 

                        大杉脳神経外科医院  大杉 敦彦

 

  

 


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