痛みとは?(2015/12/01)

   痛みと聞いて、嫌な不快なイメージを持つ方が多いかもしれません。痛みがあると、仕事、人間関係、身体機能、心の状態、生活の質に影響を与えます。国際疼痛学会では、「痛みとは不快な感覚的・情動的体験である」と定義しています。

痛みには、「急性痛」と「慢性痛」があります。急性痛は、手術、外傷、急性疾患など明らかな原因があり感じる痛みで、原因疾患の治癒によりほぼ改善します。慢性痛は、頸、肩、手足などの反復する痛み、関節リウマチ、転移性がん、脳卒中による持続する痛みなどがあります。慢性痛の治療は、理学療法、薬物療法、神経ブロック、精神的ケアなど複数の治療で行われます。

痛みはさらに3種類に分類できます。

@   侵害受容性疼痛…皮膚や粘膜が刺激や障害を受けて起こる痛みで、体性痛(外傷、熱傷、虚血体性痛など)と内臓痛(内臓の虚血や攣縮)があります。

A   神経因性疼痛…「ビリビリ、ジンジン、チクチク」テレビのCMで有名になった痛みで、坐骨神経、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害などがあります。

B   心因性疼痛…原因が分からない痛みで、心理的作用が強いものになります。

骨、筋、関節包、内臓、血管、髄膜などには痛みを感じるセンサーがあり、痛みを感じた後、Aδ線維、C線維を通り脊髄、脳内に伝えます。

Aδ線維とは、強い物理的刺激のみに反応し、伝える速度が速く、はっきりとした鋭い刺すような痛みを伝えます。一方C線維は、太さはAδ線維の6分の1、速さは15分の1ですが、強い物理的刺激に加えて、熱刺激、科学的刺激、強い冷刺激に反応し、鈍くうずくような痛みを伝えます。

痛みは、本来備わっている生理学的機能であり、身体に危険が及ぶ際の警告となる大事なものです。痛みが強い時は我慢をせず、早めに近くの医療機関で受診してください。

 

               大杉脳神経外科医院 大杉 聡宏 


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