増えている!高齢者の心不全(2016/05/02) 心不全は、病名ではなく、心臓のポンプとしての機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に供給できなくなった状態のことです。 原因としては、心筋梗塞や心筋症、弁膜症のほか、高血圧や不整脈、貧血など、心臓の機能を低下させる病気が考えられます。 心不全になると、心臓だけでなく全身にさまざまな症状が現れます。代表的な症状は、息切れ、動悸、下肢のむくみなどです。初期のうちは、階段や坂道を登った時に息切れがする程度ですが、病状が進行すると、安静にしていても息苦しくなります。 心不全はつらい症状のために外出ができなくなり、家に閉じこもりがちになり、QOL(生活の質)を低下させる大きな要因になっています。特に高齢者の場合、自覚症状が現れにくく、息切れなどの症状があっても「年のせいだから」「運動不足では」と思い込み、受診しないケースが少なくありません。しかし、放置したままでいると症状は徐々に悪化して就寝中に呼吸困難を起こし、救急車で運ばれる患者さんもいます。また、治療を受けていても、薬の飲み忘れや不規則な食生活によって入退院を繰り返すことが多いのも特徴です。心不全を起こすたびに心臓の機能は確実に低下して生命の危機に陥ります。 診断は胸部レントゲン、心電図のほか、心臓エコー検査や血液検査(BNP測定)などで行います。原因疾患にもよりますが、初期段階で気づけば、多くの場合、薬だけで症状を改善することができます。薬は医師の指示を守って正しく服用するようにしましょう。また、普段からバランスのよい食事や減塩、禁煙を心がけて、血圧や体重をきちんと管理することも大切です。
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