大人のリンゴ病について(2016/07/01)

 リンゴ病は、子どもの両頬が発疹で紅くなることで、その名前がついた病気です。別名を伝染性紅斑とも言い、ヒトパルボウイルスB19による良性の感染性疾患です。春から夏にかけて患者さんが増える傾向にありますが、一年を通して散発的な流行をきたすこともあります。典型的には、子どもが発熱やだるさなどのインフルエンザに似た症状の後に、顔面がリンゴのようになる特徴的な紅斑や体幹にレースの網目様に紅い皮疹を起こします。

皮疹が出たころには、人に広がる恐れはなく、通常は一週間程度で自然に治ります。国立感染症研究所によると、昨年は全国的に流行し、10万人近い報告例がありました。また、今春は香川県でもリンゴ病の流行があり、小さい子どもがいるご家族の方は、この病気を見かける機会があった方もいたと思います。子どもに関してはよく知られていますが、大人の感染は症状が子どもと異なることもあり、あまり知られていません。

大人がかかった場合でも、発熱、倦怠感、筋肉痛に続いて皮疹をきたすことがあります。しかし、子どもの感染の特徴である顔面の紅斑や体幹の網状皮疹は大人では少なく、分かりにくい場合が多いです。大人の発疹は、手足に出ることが多く、かゆみを伴うこともあります。また、大人では、子どもにはほとんど見られない手足のむくみや関節痛が高頻度に見られるため、リウマチにかかったと思い受診する人もいます。関節痛の多くは数週間で自然に改善するといわれ、特別な治療法はありません。症状の強い場合には、消炎鎮痛薬で様子をみることもあります。

このように大人のリンゴ病は、一般的に認知度が低く、子どもとの接触歴が分からないと診断に難渋する場合があります。子どもと接する機会の多い方で、原因の分からない皮疹に関節痛やむくみが出た際には、リンゴ病が原因の場合もありますので、医師への相談をお勧めします。

 

愛慈胃腸科内科医院   白井 哲 


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