過活動膀胱(OAB)(2017/01/04)

  過活動膀胱は「急に我慢できないような尿意が起こる(尿意切迫感)」「トイレが近い(頻尿)」「急にトイレに行きたくなり、我慢ができず尿が漏れてしまうことがある(切迫性尿失禁)」などの症状を示す病気です。英語では、OABOver Active Bladder)といいます。

 最近の調査では、40歳以上の男女の8人に1人が、過活動膀胱の症状をもっていることが分かり、実際の患者さんの数は800万人以上ということになります。特に、これから冷えてくる冬場では症状が悪化しやすく、患者さんが増えてくる傾向があります。原因は、脳卒中や脳梗塞など脳と膀胱を結ぶ神経のトラブルで起こる『神経因性』のものと、それ以外の原因で起こる『非神経因性』のものがあります。中でも『非神経因性』のものが多く、女性では出産等によって、膀胱・子宮・尿道などを支えている骨盤底筋の障害により排尿のメカニズムがうまく働かなくなることで起こったり、男性では前立腺肥大症が原因になることもありますが、実際には加齢や原因のはっきりしないものが多く存在します。

 ただ、排尿に関係した症状があるからといって、必ずしも過活動膀胱とは限りません。他の病気(膀胱炎や膀胱腫瘍等)の可能性も含めて確認するための検査が必要です。必要な検査は尿検査、腹部エコー検査(残尿量の測定)、場合によっては血液検査など比較的簡単なものですので、不安がらずに早めにかかりつけ医などの医療機関を受診しましょう。

 治療は、主に膀胱の収縮を抑える抗コリン薬の内服になりますが、便秘や口渇、場合によっては排尿困難などの副作用があります。また緑内障の方は服用禁忌となっており、抗コリン薬の服用に際しては、きちんとした医師の指導の下で服用するようにしましょう。

 

 

四国こどもとおとなの医療センター 泌尿器科医長   横田 欣也


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