小児の感染症と抗菌薬(2017/05/01) お子さんに処方されている抗生物質(以下、抗菌薬)がどんな薬剤かご存じでしょうか?今回は抗菌薬の効果とどのような小児の感染症に対して抗菌薬の内服が推奨されているかをお話ししたいと思います。まず、感染症とは体のさまざまな部位から病原微生物が侵入することで発熱、咳、鼻汁、下痢や嘔吐などの症状を認める疾患です。この感染症の治療薬として抗菌薬が使用されていますが、すべての感染症に対して抗菌薬が有効なわけではありません。 小児の感染症は大きく分けるとウイルス性と細菌性の2つがあります。このうち抗菌薬が効果を発揮するのは細菌性の感染症です。つまり、抗菌薬は細菌を殺す効果を持つ薬剤なのです。それでは、一般的にどのような小児の感染症に対して抗菌薬の内服が推奨されているかと言うと、頻度の多い疾患として@急性中耳炎 A溶連菌による咽頭炎や扁桃炎 B急性副鼻腔炎 C百日咳や細菌性が疑われる場合の肺炎 Dとびひなどの皮膚感染症 E尿路感染症などが挙げられます。その一方で、お子さんが保育所、幼稚園や小学校などの集団生活の場で罹患する感染症の多くが実はウイルス性です。つまり、抗菌薬の効果が期待できない感染症なのです。 例えば、毎年流行する急性胃腸炎はノロやロタウイルス、夏かぜはアデノウイルスやエンテロウイルス、冬に発熱、咳や鼻汁を伴う流行性疾患はRSウイルス、インフルエンザウイルスなどによる感染症です。もちろん、かぜもウイルス性の感染症です。がんばってお薬を飲むお子さんのためにも、日ごろからどのような場面で抗菌薬の内服が必要なのかをかかりつけ医と十分に確認しましょう。そして、もし抗菌薬が処方された場合には元気になったからといって中断せずに最後までしっかりと内服するよう心がけてください。
四国こどもとおとなの医療センター 小児感染症内科 岡田 隆文 |
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