特定健診結果の基本事項(2018/03/01)

 来年度から特定健診の一部が改定されます。それを機に、特定健診の読み方を医師の立場から述べたいと思います。

 特定健診を受けると腹囲、コレステロール、血糖等のさまざまな検査結果が記載されています。これら全ての項目で基準値内に入っていると、自分は正常、健康であると思うことでしょう。しかし、基準値は健康(そうな)人の95%が入っているというだけの数字であり、必ずしも正常値と一致しないのです。正常値とは男女別、年齢別、疾病の有無、今までの経過等の総体としてみたものです。例えば、胃がん、肺がん、脳腫瘍等の発見には全く役に立たず、結核や甲状腺の異常もお手上げです。

 じゃあ何が分かるのか?腹囲(臍の高さで判定、ウエストでない)、血圧、血糖、脂質およびこれらの複合された動脈硬化性疾患が分かるのです。脳卒中、狭心症等の虚血性心疾患、血栓症等の自分では気付かないが、ある日突然襲ってくる疾病(いわゆる生活習慣病)のある程度の早期発見が可能となります。

 そのためには個々の数字をみるだけではなく、推移、経過をみることが大切になります。動きをみるのです。例えば、AST40であったとして、以前は5060だったものが、40になったのと、3025であったものが40になったのでは意味合いが違うのです。よく医者が「経過をみましょう」というやつです。あれは不詳ということだけでなく、個々の数字だけをみてはいけないことを知っているからで、動きをみているから言っているのです。

 各人各人の経過、推移をみることを忘れないようにしつつ、特定健診の結果をみるようにお願いします。

 

 

                                                山下内科医院   山下 正樹 


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