糖尿病とサルコペニア(2018/05/02)

 サルコペニアという言葉を聞いたことはありますか?

 サルコペニアとは加齢や疾患により、筋肉量が減少することで、握力や下肢・体幹筋等全身の『筋力低下が起こること』を指します。または、歩くスピードが遅くなる、つえや手すりが必要になる等『身体機能の低下が起こること』を指します。

 サルコペニアの方は身体の機能とともに、血糖を調節する機能が低下するため、糖尿病になりやすいといわれています。また、体重が減ったり、筋力が低下したりするので、糖尿病の方はそうでない方と比べて1.44倍で転倒しやすいといわれています。

 サルコペニアの診断基準はさまざまな種類がありますが、アジアのワーキンググループ(AWGS)による定義がよく使われています。

 

サルコペニア診断基準

 65歳以上の高齢者(特別な場合以外は75歳以上とすべきと考えます)で、歩行速度が0.8m/秒未満、もしくは握力が男性26s未満、女性18s未満である場合に筋力計測をして筋力減少が認められたらサルコペニアと診断されます。握力計があればぜひ測ってください。安全に50m歩ける場所を見つけてください、そしてお互い歩行スピードを計ってみましょう。50m1分以上かかる場合はサルコペニアの可能性があります。

 

 サルコペニアがある場合は、体重を減らさないようにし、十分なエネルギーとたんぱく質を摂取するようにしましょう。糖尿病の食事療法では野菜から食べましょうと指導される場合が多いのですが、肥満のない方はたんぱく質・炭水化物から食べることも重要です。野菜をしっかり食べたらご飯もおかずも残ったのでは十分なたんぱく質もカロリーも取れません。

 最近の研究では筋力を維持するためには、食後3060分に筋肉トレーニングをするのがいいとされています。筋力を維持して転倒・骨折・寝たきりにならないようにしましょう。

 

 

                           岩本内科医院   岩本 正博


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