外反母趾について(2019/03/01)

  「足の親指が『くの字』に曲がってきた」という方はおられませんか。

 これは外反母趾と考えられます。外反母趾とは、母趾(親指)が小趾(小指)側に向かって屈曲変形した状態で、ひどくなると隣の指に重なったり、その結果、母趾の付け根の内側にバニオンと呼ばれる腫れを生じ、痛みが発生することもあります。多くの場合、扁平足を合併しています。

 人間には、足趾の付け根を結ぶ横アーチと内側・外側縦アーチの計3つのアーチがあり、歩行時の衝撃吸収や姿勢バランスを保っています。これらのバランスが崩れ扁平足になると、中足骨が開き、母趾は逆に靴で外側に圧迫されることになり、外反母趾が起こります。先が細い靴、ヒールが高い靴、また、大きすぎる靴でも変形を強くします。それらを避け、縦横のサイズの合った正しい靴を選ぶことも大切です。レントゲン写真で外反母趾角が20度以上あれば外反母趾と診断され、40度以上の重度の方もおられます。治療は、初期のうちは足の筋肉を鍛えるために、足趾を使ってタオルを巻き上げる運動や足指じゃんけん運動、両母趾にゴムバンドをかけて広げる方法などがあります。

 装具についても、趾間にクッション材を挟むもの、横アーチの減少を防ぐために足底にパッドを挿入するタイプなど、さまざまな種類があります。ある程度進行すると、変形の程度も個々に違うので、採型し、足底板を足の形状に合わせて作る方法がよいと思います。それでも痛みが取れない重度の場合には、最後の手段として手術を考えます。手術方法については多くあり、中足骨の骨切り(骨を切って並び替える)を中心としたものになります。正確な診断を受けることをおすすめします。

 

                       三宅整形・リハビリクリニック   三宅 基夫


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