痛みの診療科(2019/04/01)

 痛みの診療科では、腰痛や肩こり、関節痛などの運動器の痛みを中心に、その他の体の長引く痛みに対しても対応していくために診察を始めました。痛みは、体に何かの問題(けがや病気など)が起きたときに危険信号として現れる急性痛と、その問題が治る時期を過ぎても痛みが長く続く慢性痛に分けられます。一般的に急性痛に対しては、その部位の専門診療科で原因を探し、適切な治療を行うことで痛みも和らいでいきます。つまり、診療根拠に基づいた医療の提供によって多くの急性痛は改善します。そこで、痛みの診療科においては、痛みの訴えが多い整形外科領域の急性痛に対して、詳しい原因検索と最新の治療法(薬、注射、手術など)の提供に取り組み始めました。

 一方、慢性痛においてはご病状がさまざまですので、容易に痛みが治る方もいれば、なかなか治らない方もいます。痛みが長く続く場合には、不安や恐怖が強くなり、やる気も低下して、ますます痛みを強く感じることになります。さらに、痛みによって身体活動が低下すると社会との関わりも少なくなり、生活の質が著しく低下してしまい、さらに不安や動かないことが増えるという悪循環に陥ることで、痛み以外のさまざまな問題が生じてくることが慢性痛の本質ともいえます。

 そこで、多種多様なご病気が複雑に絡んだ慢性痛に対しては、考えられる病状やその治療方針を複数の専門医療者で話し合いながら、個々の患者さんの状態に応じたオーダーメイドの医療を提供していくことが重要となります。そこで、このような痛みに対応できるように、現在、痛みの医療センター(疼痛医療センター)の診療体制を整えています。これによって、さまざまな体の痛みや付随して生じた諸問題を解決しながら、患者さんの身体活動や生活の質がよりよく向上していくことを目指しています。

 

        四国こどもとおとなの医療センター 疼痛医療センター科長  川崎 元敬


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