高齢者のてんかん(2019/06/03) 最近、高齢者の起こす交通事故がよく報道されます。その原因として認知症、脳卒中、心臓発作などとともにてんかんがあります。 皆さんはてんかんに対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。一般的には子どもの頃から起こる先天的なものであり『急に意識がなくなり、眼が上を向き、手足が硬直し震え、ピクッピクッとひきつけるもの』(全身けいれん)と思われているかと思います。 てんかんの発生は成人になると減りますが、実は60歳以上になると再び増加してきます。原因は脳卒中、脳変性疾患などですが、原因不明のものも3割くらいはあります。そしてその多くは、複雑部分発作で側頭葉てんかんが7割以上といわれています。 その症状は、意識減損注1で時に自動症注2がみられます。認知症の場合と異なり、最近の記憶は確かでも過去の一定期間の記憶がないことがあります。 診断にはCT、MRIとともに脳波が重要ですが、てんかん性異常波が捉えられないことも多く、症状の確認が重要です。 最近、患者さんのご家族でスマホで動画撮影し、私のところに持ってこられた方がいました。無意識に足をさすり下ろすような動作があり、これがまさに自動症と呼ばれるもので、側頭葉てんかんと診断しました。抗てんかん薬の服薬で、その後症状はみられていません。このように、ぼーっとして何か不可解な動作があれば、動画撮影をお勧めします。 注1) ぼーっとして反応がなく、1〜2分で回復するもその間の記憶がない状態になること 注2) 口をもごもごしたり、手をもぞもぞしたり一定の不可解な動作を行うこと
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