腎機能の指標〜クレアチニンとeGFR〜(2019/09/02) 今年度も6月から特定健診が始まっています。健康診査結果通知書の中に『その他の検査』クレアチニン、eGFRという項目があります。いずれも腎機能の指標となる検査項目ですが、あまり解説される機会がないように思います。今回は、腎機能検査についてお話ししてみたいと思います。 ◆血清クレアチニン 筋肉の中にある物質が分解されてできた老廃物がクレアチニン(Cr)です。Crは腎臓に運ばれ、腎糸球体でろ過された後、尿中へ排出されます。腎機能が悪いと排せつされずに、血液中に溜まってしまいます。つまり、腎機能が低下していると、血清Cr値は上がってしまうということです。 血清Crの基準値は(男性)0.6〜1.0mg/dL、(女性)0.5〜0.8mg/dLです。 ◆eGFR 一方GFRとは、腎糸球体1分間あたりのろ過能力のことをいいます。正確なGFRを求めるには、体の大きさや年齢、性別を考慮しなければなりません。次の概算式で算出したGFRを『概算GFR=eGFR』といいます。 【eGFRの計算式】 194×血清Cr−1.094×年齢−0.287 (女性の場合はさらに×0.739) eGFR≧60mL/分/1.73m2が基準値となります。 ◆クレアチニンとeGFRの違いは? ともに腎機能の検査として用いられるCrとeGFRですが、どのような違いがあるのでしょうか?Crは腎機能が50%以上低くならないと異常値を示さないという欠点があります。血清Crが低下する頃には、腎機能がかなり落ちているということで、腎機能低下の早期発見には適していません。一方でeGFRは早期の腎機能障害から数値が落ちてきますので、早期発見に適しているといえます。現在ではCrの値よりもeGFRの値で腎機能障害の有無を判断するようになっています。
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