成長曲線について(2019/11/01)

 お子さんの成長曲線を描いたことはありますでしょうか。お子さんが乳幼児の時は、母子手帳の身体発育曲線を活用されていたかもしれませんが、小学生になってからは、成長曲線を目にする機会はあまりないかもしれません。成長曲線はこどもの発育の評価に大変役立つものです。成長曲線の活用による発育の評価は、小児科では以前から行われていましたが、学校健診でも法改正により平成28年度から積極的に活用されるようになってきています。ここでは、成長曲線の基本的な事柄、成長曲線の見方についてご紹介したいと思います。

 成長曲線とは、男女別にたくさんのこどもの身長や体重の記録を集めて、年齢別に身長や体重の平均値や標準偏差を曲線で示した表のことです。同じ年齢の100人のこどもを集めて背の小さい順に並べた場合に、平均値は前から50番目のこどもの身長を表します。標準偏差は、平均からの離れ具合を表し、ー2.0SDは前から2〜3番目、+2.0SDは後ろから2〜3番目のこどもの身長に相当します。ー2.0SDより低い身長を低身長と呼んでおり、こどもの2%は必ず低身長になります。

 次に成長曲線の見方をご説明します。身長は伸びているようだけど十分に伸びているのだろうか、そのようなご心配をお聞きします。お子さんの身長が気になる場合は、今までの成長記録を集めて成長曲線を描いてみましょう。成長曲線は、日本小児内分泌学会や製薬会社のwebサイトから入手できます。お子さんの身長の伸びが曲線に沿っていて、身長が−2.0SD〜+2.0SDの標準的な範囲から大きく外れていなければ、通常はあまり問題ありません。しかし、曲線から下向きに離れて身長が伸びていない場合には成長ホルモンなどのホルモンが不足している、また上向きに離れて身長が急速に伸びている場合には二次性徴が通常よりも早く進んでいるなどの病気の可能性が疑われます。その場合は一度ご相談されることをおすすめします。

 

 

         四国こどもとおとなの医療センター 小児内分泌・代謝内科医師   三好 達也 


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