新型コロナウイルス感染症だけじゃない!?コロナ禍の子どもを取り巻く諸問題(2021/02/01)

 子どもは大人に比べると新型コロナウイルスに感染しにくく、死亡例が少ないとされていますが、一方でその感染者数は増加傾向にあるといわれています。冬に流行するインフルエンザウイルスにも注意が必要です。 

 インフルエンザウイルスよりも生後間もない子どもに重篤な症状を引き起こす、冬季に流行するウイルス感染症があるのをご存知でしょうか?それは、RSウイルス感染症です。RSウイルスは細気管支炎などの下気道感染を起こす原因ウイルスで、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するといわれています。症状としては発熱や鼻水、咳など『かぜ症状』が数日続き、ほとんどの人は軽症で済みますが、「ゼーゼー、ヒューヒュー」といった喘鳴を伴う咳や呼吸困難が出現する場合には細気管支炎、肺炎に進展している可能性があります。特に基礎疾患(早産、先天性心疾患、免疫不全など)のある子は重症化するリスクが高く、場合によっては人工呼吸が必要になることもあります。RSウイルスは新型コロナウイルスと同様に飛沫感染で感染するため、手洗い・マスク・消毒は有効です。

 新型コロナウイルス感染症の脅威からわが子を守るために、ご家族の方たちはできる限り感染予防策を行っていると思いますが、過度な外出自粛はかえって自分たちを苦しめることにもつながります。RSウイルス感染症が知らぬ間に重症化していた、ということがないように、受けるべき乳幼児健診や予防接種は無駄に控えずに適切な時期に受けましょう。日本小児科学会のホームページには、新型コロナウイルス感染症の最新情報などが掲載されていますので、ぜひご覧ください。

 

            四国こどもとおとなの医療センター 新生児内科医長   久保井 徹


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