子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)について(2021/11/01)

 HPVワクチンとは、子宮頸がんを予防するためのワクチンです。2009年に、サーバリックスというワクチン、翌年にガーダシルというワクチンが承認されました。2013年4月には、定期接種が開始され、中学校1年生には公費負担で接種を行うようになりました。しかし、2013年6月にワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛がワクチン接種後に特異的に見られたことから、副反応の頻度がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとされ、積極的な接種勧奨の一時差し控えを決定しました。その後、日本において、ワクチン接種後に報告された痛みや運動障害などを含む症状に関しては、国内外において多くの解析が慎重に行われてきましたが、このような症状とワクチン接種との因果関係を科学的・疫学的に示した報告はありません。しかし、現在まで厚労省から積極的な接種勧奨は行われていません。では、ワクチン接種がほとんど行われなくなった日本の子宮頸がんによる死亡率はどうなったのでしょうか。積極的にワクチンを接種勧奨、子宮頸がん検診を行っている国では、死亡率は横ばいから低下していますが、日本では年々増加しており、年間約1万人が罹患し、約2800人が死亡しています。またがんに罹患する年齢も若くなっています。主ながんの死亡率は、肝臓がん、胃がん、大腸がん、肺がんは低下していますが、乳がんと子宮頸がんは増加しています。

 不安なこと、わからないことがあれば婦人科外来で相談をさせていただきますので、受診していただきたいと思います。

 

                 四国こどもとおとなの医療センター 副院長   前田 和寿


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