ひとくちメモ
医学用語の読み方―隠微な暗〜い嗤いー(2020/09/01)

 世の中はコロナ一色で毎日うんざりしていますので、今日は軽い軽い話をします、少し暗いですが。 よく刑事ドラマで「頭蓋骨(ズガイコツ)が出たぞ。犯人はヤツだ」というような場面、これ『頭蓋骨』は『とうがいこつ』と読みます。ドラマでは強調するためか、視聴者にインパクトを与えるためか医学監修者がいるはずなのですが、今では『ズガイコツ』派が多い気がします。

 また、医療解説番組でも、お年寄りによくある膝(ヒザ)が変形して水がたまったり、痛んだりするあの病気をMCがパネルまで使って『ヘンケイセイヒザカンセツショウ』と言っていました。横に教授風の人がいましたが遠慮しているのか何も指摘はしていませんでした。これも本当は『変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)』と言います。

 肩関節が痛い人が来たとき、「50肩でしょう」と診断書に『肩関節周囲炎(けんかんせつしゅういえん)』と書きますが、ほぼ全員「カタカンセツ」と読んでいます。肩甲骨の『けん』です。以上、一般的に医学漢字は音読みが正統です。

 さらに一番問題なのは(最近は理解が進み少なくなってきていますが)医療ドラマで主治医が、患者家族などに「今の状況では根治療法はありません。対処療法をするだけです。」などと説明していました。この【対処する】は普通に使われる日本語ですが、医療関係では『対処療法』ではなく『対症療法(たいしょうりょうほう)』です。症状に応じ、熱が出たら熱冷まし、せきが出たらせき止めというものです。その他マスコミでは、医学用語の変な読み方が時々出てきます。今さらどうしようもありませんが、自分で調べた上で「あの読み方、言い方おかしいぞ!」と一人で、隠微な暗〜い嗤いをもって番組を見るのも一興かと思います。

 

                                                                                           山下内科医院   山下 正樹


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