ストレスと感染症(2004/12/01)
古くから「病は気から」といわれてきました。ストレスとは、物質が外力により生じるひずみを意味します。生物に使われたのは、1936年、カナダの学者セリエが提唱して以降です。ストレスは身体的・精神的な内面にも用いられるようになりました。寒冷、外傷、疾病、精神的緊張、光線や騒音でも、自分に不愉快な刺激であればストレスになります。ストレスが自律神経に影響し、副腎からアドレナリンなどの分泌に始まり、脳の視床下部・下垂体、更に副腎皮質の回路によって、循環器系など、他の臓器ならびに血液中の免疫細胞にも影響します。
今日は小児疾患の一つ、水痘のウイルスを例にお話ししましょう。水痘はほとんどの子どもが(時には大人になって)かかる病気です。一度かかると免疫ができ、二度と水痘にはかかりません。この水痘に似た疾患に帯状疱疹という病気があり、成人で体の知覚神経領域の皮膚に、痛みを伴う水疱を生じます。水痘と帯状疱疹はそれぞれ別の病原体でかかると考えられていましたが、後に同じウイルスであることがわかりました。初感染は水痘として発病し、二度とかかりません。水痘感染後、ウイルスが脊髄の後背側部から出る脊髄後根神経節(知覚神経で痛みを感じる神経)の中に潜んでいることがあります。宿主(人間)の免疫状態(抵抗力)が低下すると皮膚に現れることがあり、これが帯状疱疹と呼ばれるものです。痛みを伴い、皮膚を這うように現れるので帯状疱疹ウイルスなどはヘルペスウイルス群に分類されます。他にもヘルペスウイルスは六種類以上あります。このように感染もストレスが関与しているのです。

善通寺前田病院   濱田 嘉徳

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