下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)(2005/05/02)
 心臓から送り出された血液は、動脈を通り体中に運ばれ、静脈を通り心臓に戻ります。この動脈が狭くなることを狭窄(きょうさく)、つまってしまうことを閉塞(へいそく)といいます。心臓でいえば、狭窄は狭心症の状態、閉塞は心筋梗塞の状態です。動脈硬化で下肢の動脈に狭窄や閉塞が起こる血管の病気を下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)と言います。
【 症 状 】下肢に血液が十分供給できず、下肢の筋肉の酸素不足により、軽症例では下肢の冷感やしびれ、典型例では数百メートルの歩行で足の筋肉が痛くなり、歩けなくなります。しかし休息すると痛みは速やかに解消します。進行すると、歩かなくても足が痛い、足先が白っぽい、あるいは暗紅色になります。
【 原 因 】高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、高尿酸血症、肥満などです。
【 予 後 】五年生存率は、約七割と進行大腸癌に匹敵するといわれています。
【 死 因 】心筋梗塞、脳梗塞など。
【 診 断 】簡単には、腕の血圧と下肢の血圧を比較します。正常人は臥位では上肢の血圧より下肢の血圧が高い。血管が狭窄、閉塞すると下肢の血圧が低くなります。最近ではフォルムという医療機器で簡単に測定できます。異常があれば専門施設でさらに詳しい検査をします。
【 治 療 】内科的治療(薬物)とカテーテル治療(風船つきのカテーテルで血管をふくらませたりステントという金属の枠を血管に入れる)、外科的治療(手術)などがあります。

(医)社団幸正会岩本内科医院 岩本 正博

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