免疫の仕組み(予防接種に関連して)(2005/11/01)


 おたふく風邪やはしかなどに二度かからない現象を『免疫が成立している』と呼んでいます。
 この仕組みにはリンパ球が関係しています。リンパ球は通常は休眠している小さな細胞です。おたふく風邪ウイルスのような異物が体内に侵入するとこれを捉えるのがリンパ球です。この異物のことを抗原といいます。抗原が体内に侵入するとリンパ球は目をさまし、抗原と戦うために分裂しながら小さなリンパ球から大きなリンパ球に変化します。ウイルスが侵入したという情報はリンパ球に伝達されます。情報を受けとったB‐リンパ球はどんどん分裂して増えていきます。といっても、このウイルス抗原に対応するB‐リンパ球だけが出動して特異的なたんぱく質が産生されます。このたんぱく質を抗体といいます。抗体はB‐リンパ球の表面で産生され分離されて血清中に出ていってウイルスに接着して戦いを挑みます。戦いが終わった後は、B‐リンパ球の一部は抗原を記憶して免疫記憶細胞となり休眠状態に入ります。二回目のウイルスの侵入が起きますと、免疫記憶細胞のお陰で直ちにウイルスに対する抗体を産生して、病気を殆んど起こさないうちに炎症を止めてしまいます。これが『二度かかりなし』の免疫の仕組みです。予防接種を受けるのはこのためです。しかしインフルエンザウイルスの場合には毎年受けることになりますが、これはインフルエンザウイルス抗原が少しずつ変化しているためで、変化するウイルス抗原を毎年予測しながらワクチンを製造しているからです。ですから、変化していくウイルス抗原に対応するような抗体を体に中に作らせるために、毎年接種を受けることになります。これがB‐リンパ球を介する液性免疫と呼ばれるものです。だからインフルエンザの予防接種は毎年受ける必要があります。

愛慈胃腸科内科医院
白井 昭雄

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