〜 肥満と癌の関連 〜(2006/03/01)

肥満との関連が指摘されている癌には次のような癌があります。

一、肥満と子宮体癌
 子宮頚癌は乳頭腫ウイルスとの関連が指摘されており、子宮体癌は一般に閉経後に発症し、若いころから肥満が続いている女性に多いといわれている。肥満者では内分泌異常を伴うことが多く、高エストロゲンとなり、子宮体癌の発症が高頻度に見られる。

二、肥満と乳癌
 乳癌は年々増加している。乳腺は子宮粘膜と同様エストロゲンによって強く影響を受け、高エストロゲンで発症が促進される。肉類、乳製品の摂取量の増加が女性ホルモンの分泌を促し、閉経後の高エストロゲン環境を作り上げている。肥満のほかに未婚、高齢初産、閉経が五十五歳以上、良性乳腺疾患の即往、家族暦などが指摘されている。

三、肥満と大腸癌
 大腸癌も乳癌と同様脂肪摂取との関連が指摘され、食事の西洋化に伴って大腸癌の発生率も年々高まっている。脂肪の摂取は脂肪の消化吸収のために胆汁分泌を促し、胆汁中の胆汁酸が大腸菌によってデオキシコール酸などに変わり、さらにその代謝産物が大腸粘膜を増殖させ発癌を来たすものと思われ、肥満者では一般に動物性脂肪の摂取が多く、それが大腸癌の発生頻度を高くしている原因の一つと思われる。

四、肥満と前立腺癌
 前立腺癌は高齢者の二〇%に潜伏癌として見つかり、体内の高エストロゲン、低テストステロン環境が前立腺癌の要因となる。肥満や高脂肪食が前立腺癌のリスクになる。

五、肥満と胆嚢癌、胆管癌
 肥満に伴う高脂血症は胆石症を合併することが多い。過剰なコレステロールが胆汁中に排泄されて結石となる。結石により慢性の機械的刺激、慢性炎症が胆嚢癌、胆管癌の発生要因になる。

※ エストロゲン = 卵胞ホルモン
※ テストステロン = 精巣間質細胞で生成されるステロイド-ホルモン。男性ホルモンの主なもの

西山生々堂医院 ・ 西山 敬萬

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