妊娠中の食事について(2007/03/01)

 「妊娠しているのだから、お腹の赤ちゃんのために二人分食べないといけないよ」妊婦さんがおばあちゃんからよく言われる言葉です。
 では本当に二人分食べなくてはいけないのでしょうか?実はそんなに食べてはいけないのです。
 お腹に赤ちゃんがいれば、当然赤ちゃんのための栄養が必要になります。でもその必要エネルギーは思いのほか少ないものです。それは妊娠初期で50kcal、中期で250kcal、後期で500kcalとされています。ですから、後期以外にショートケーキを一個でも食べようものなら、一発でカロリーオーバーになってしまうのです。
 また、それだけではありません。妊娠中は普段に比べ身体活動レベルが低下します。人によっては300〜600kcalのエネルギー必要量が落ちてしまいます。だから、普段と同じ食生活をしているだけで、赤ちゃんの必要エネルギーを差し引いてもカロリーオーバーになることが多いのです。
 つまり妊娠中は、妊娠前と同じ食生活をしていたら、体重が増えすぎる可能性が高いのです。妊娠前の体型にもよりますが、一般に妊娠による体重の増加は10s前後が理想と言われます。妊娠中に体重が増えすぎると、妊娠による高血圧・糖尿病、巨大児や難産が起こりやすくなり、いいことはありません。よって妊娠中は妊娠前に比べカロリーや塩分を控え、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。また妊娠中の運動は、あくまでも体調維持・気分転換が主な目的で、エネルギーを消費して体重を減らそうとするものではありません。忘れないでください。
 妊娠とわかった日からもうお母さんです。育児はお腹の中でもう始まっています。一日一日お腹の赤ちゃんのことを思いながら過ごしましょう。


谷病院 谷 政明


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