こどもの肥満 − メタボリック対策は小児期から −(2007/05/01)


 最近、メタボリック症候群という言葉がマスコミを賑わしており、肥満とくに内臓脂肪の蓄積が糖尿病など色々な健康障害の原因になることが広く知られるようになりました。実はメタボリック症候群は大人だけのものではありません。赤ちゃんのときには、内臓脂肪はほとんどついていませんが、幼稚園児になると、太ったこどもでは既に内臓脂肪が蓄積しており、年齢とともに増加していきます。
 大人では肥満の程度を表すのにBMI(体重(s)÷身長(m)2)が使われますが、こどもでは年齢により体格が変化するので、一般的に肥満度(年齢・身長相当の体重に比べてどれくらい実際の体重が重いか)が用いられます。文部科学省などの統計では小・中学校における肥満児童・生徒(肥満度+20%以上)の割合は約10%であり、合併症が早期にでる危険性が高い高度肥満(肥満度+50%以上)のこどもが約2%いることが示されています。また、小学校入学時に肥満であったこどもは、かなりの確率で大人になっても肥満であることもわかっています。ダイエットに挑戦されたことのある方は実感されると思いますが、一旦増えすぎた脂肪を減らすのには努力が必要で、特にこどもにおいては無理な減量は身長の伸びを損ねるので、まず肥満にならないようにすることが大切です。
 骨粗鬆症の最善の対策が、こどもの時に骨を丈夫にしておくことであるように、メタボリック症候群の予防には、こどもの時からの良い生活習慣の確立が必要です。お子さんと一緒に体を動かしませんか。

香川小児病院 臨床研究部長
横田 一郎

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