ピロリ菌って、ご存じですか?(2007/09/03)


 最近、マスコミなどで「ピロリ菌」という言葉が時々登場します。さて、ピロリ菌とはどの様なものなのでしょうか。正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」といいます。ヘリコとはヘリコプターのヘリコで、「らせん」という意味です。バクターは「バクテリア(細菌)」を意味します。またピロリとは胃の出口をさす「ピロルス(胃幽門)」を意味しています。すなわち、人間の胃の中に生息している細菌で、胃炎や胃・十二指腸潰瘍の重要な原因であることが明らかになってきました。ピロリ菌は保菌者の糞便あるいは嘔吐物から感染する、糞口あるいは口口感染が多いようです。幼児期の衛生環境が悪かった50歳以上の日本人では80%近い人が感染していると推定されています。近年公衆衛生事情が良くなり、若年者の感染率は下がってきています。ピロリ菌に感染したほとんどの人に胃炎が起こります。そしてピロリ菌は胃の中に住み続け、慢性胃炎として炎症が続きます。慢性胃炎では胃の粘膜を防御する力が弱まり、ストレスや塩分の多い食事、発がん物質などの攻撃を受けやすい状態になります。頻度的には慢性胃炎の状態のまま一生を終える人がほとんどのようですが、潰瘍やがんの下地を作るようです。
 現時点で、保険治療でピロリ菌除菌治療を行えるのは胃・十二指腸潰瘍の方だけです。胃・十二指腸潰瘍と診断されている方は、かかりつけ医の医療機関に申し出てください。健康保険で検査を受けられます。その他の方は人間ドックや検診などで希望すれば、実費なりますが検査を受けられます。検査方法は、内視鏡を使う方法と使わない簡単な方法があります。胃がん家系でご心配な方や、なんとなく胃の具合が悪い方など、ご心配な方はかかりつけ医にご相談ください。


国立病院機構善通寺病院
消化器科医長 小田 修治



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