眼底検査で何がわかる?(2007/12/03)


 人間ドックや市の基本検診などで、眼底検査を受けたことがある方は多いと思います。瞳孔から目の奥の眼底を見て、網膜、視神経、血管の状態を調べる検査です。網膜は、カメラに例えればフィルムに当たり、体の中で血管(細動脈および細静脈)を直接見ることができる唯一の部位です。
 では、具体的に何を見ているのでしょうか。網膜血管を見ると、動脈硬化や高血圧の変化などがわかり、全身の血管の状態を類推することができます。
 近年、重要視されているのは、視神経を見て緑内障の有無をチェックすることです。緑内障は眼圧が高くなる病気というイメージがあるかもしれませんが、眼圧が基準内にある正常眼圧緑内障が最も多いことがわかり、眼底検査がより大事になっています。
 また、視神経は脳とつながっていますから、視神経の状態から脳の病気が発見されることがあります。
 網膜には、全身病が原因で出血や白斑などが見られることがあります。その代表的疾患が糖尿病網膜症で、重症になるまで自覚症状が無いためか、成人の失明原因の上位のひとつになっています。その他にも高血圧、腎炎、貧血や白血病などの血液疾患、膠原病、感染症など、多くの全身病でも眼底に異常が現れます。それらの特徴的な眼底所見から、原因となっている全身病の診断がつくこともあります。
 眼は心の窓であるとともに、全身病の窓とも言われます。異常を自覚していなくても、40歳以上の方は1年に1回は眼底検査を受けることをお勧めします。


戸倉医院 戸倉 敬雄




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