家庭血圧測定を活かす(2009/04/01)

 


 わが国の高血圧者は約4,000万人にのぼります。血圧水準が高いほど脳卒中、心筋梗塞、心疾患、慢性腎臓病などの罹患率や死亡率は高くなります。ある研究者によると、高血圧者のうち約半数が治療不十分とされ、より強力な高血圧管理が必要です。


 血圧は常に変動しており、外来のある瞬間に出た血圧が24時間全体を代表しているというのは少し強引な考え方です。診察室血圧を基準にして血圧を管理するよりも、家庭血圧を測定して全体の平均や変動の形などを見ながら管理すれば早朝高血圧、白衣高血圧、仮面高血圧のみきわめに有用です。実際、診察室血圧が心血管系に及ぼす影響の度合いは必ずしも鋭敏ではなく、家庭血圧は診察室血圧よりも優れた生命予後の予知因子であると報告されています。これは、診察室血圧のみで高血圧診療を行うことの限界を意味しており、家庭血圧による血圧の評価がますます重要となっています。


 2009年1月、日本高血圧学会の新しい「高血圧治療ガイドライン2009」が発表されました。その中でも24時間にわたる降圧が強調され、診療室血圧では血圧の評価は不十分で、24時間自由行動下血圧や家庭血圧測定が不可欠であると記されています。


 推奨される家庭血圧の測定法を記します。


@血圧計の種類は上腕カフ型。カフが心臓の高さになるように巻きます。(指用・手首血圧計は不正確になることが多くお勧めできない。)


A朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食・降圧薬服用前、座位1〜2分安静後に測定。


 晩:就寝前、座位1〜2分安静後に測定。


B測定は一機会に1〜3回。3回以上測る必要はありません。


C測定期間はできるだけ長期間。


 


※白衣高血圧:普段は正常なのに医師など白衣姿を見ると血圧が上がる現象


※仮面高血圧:普段は高血圧なのに病院で測定すると正常値となる現象


 


医療法人社団 田所医院


田所 久徳 先生


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