小児のメタボリックシンドローム(2009/08/03)

 


 ライフスタイルや食生活の欧米化など日本人の生活習慣は大きく変化し、小児から成人に至るまで肥満の増加が問題となっています。肥満は、メタボリックシンドロームを引き起こし、その発症はすでに小児期から始まっています。小児肥満、標準体重+20%以上(乳幼児+10%以上)の出現頻度は小・中学生の10人に2〜3人であるといわれています。


 肥満は、体脂肪が異常に蓄積した状態と定義され、それ自体が健康でない状態であることから、活動性の低下はもとより、様々な健康障害を伴ってきます。小児では、過体重による運動機能低下、関節障害や睡眠時呼吸困難などの問題、そして内臓脂肪蓄積はインスリン抵抗性を増加させ、それに伴い脂質代謝異常、耐糖能異常と糖尿病などの動脈硬化の危険因子を合併するため血管の病気になる可能性を高めます。


 成人では、メタボリックシンドロームが血管の病気を引き起こすことは知られていますが、小児もまた肥満があると、すでに血管の病気が始まっています。


 肥満になるには、遺伝、外部環境、生活習慣という3つの要因が関係します。遺伝因子は親の肥満体質だけでなく、親の食習慣や運動嫌いなどの活動性も受け継いでいます。


 生活習慣では過食、高エネルギー食と運動不足が主因で、それらを助長する外部環境要因にも問題があります。外で遊ぶことの危険性から屋内型生活、塾等による遊び時間の減少や夜型生活、さらにコンビニエンスストアの増加により安易に食べ物が手に入る環境も大きく影響しています。特に、食生活が肥満に与える影響は大きく、夜型生活による朝食を抜くこと、ファーストフードの多用は問題です。


 小児肥満は、乳児期から思春期のどの段階からでも発症しますが、学童期から思春期、思春期から成人期では肥満に移行しやすいことから幼児期からの肥満予防が重要と考えられます。


 


安藤医院  安藤 直明


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