子どもの虐待防止について(2009/10/01)

 


 児童虐待防止法は平成12年11月に施行されましたが、子どもの虐待相談件数は年々増加し、19年度には40,639件にもなりました。20年4月には法律が改正され、行政の介入が容易になってきたとはいえ、20年中に児童虐待事件の検挙数は307件、被害児童は319人、そのうち45人(14.1%)は死亡という痛ましい状態です。


 虐待には@身体的虐待(殴る、蹴る、突き飛ばす、タバコの火、アイロンを押し付ける、熱湯をかける、冬に戸外に締め出すなど、後遺症や時には死に至ることもあります。)A性的虐待(性的いたずら、性的関係を強要したり見せたりするなど)Bネグレクト⇒育児放棄、怠慢(衣食住の世話をしない、病気なのに受診させない、暑い車内に放置する、家に閉じ込めて学校に行かせないなど)C心理的虐待(ひどい言葉で傷つける、極端に無視する)などがあります。親や子どもの様子が「なんとなく変だな?」と思ったら、一度は虐待を疑ってください。そしてやはり疑いがあれば誰でも、市町村の窓口か、香川県子ども女性相談センター(以前の児童相談所)に連絡してください。もの言えぬ子どものために急ぐ必要があります。通報者の秘密は守られます。


 「子どもは乳児期に十分に信じることができる人(大多数は母親)に育てられる必要があり、そうして人を信じ、自分を信じることができるようになる」とはエリクソンがいう「基本的信頼」ですが、虐待から救うことができなければ、「不信」の念は続き、長じて問題行動、さらに自らの子どもを虐待するという虐待の連鎖につながるかもしれません。しかし虐待は他人事ではなく誰でも起こす可能性があります。養育者を責めるだけでなく、子育ての大変さに共感し、様々な職種の人たちが協力して支援してゆかねばなりません。


 


善通寺前田病院


辻 正子


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