放射線って恐い…!?(2010/04/01)

 


 原子爆弾、放射線被曝、放射線障害、発ガン、原子力発電所の事故…など『放射線』から連想される言葉にはあまり良いものがありません。確かに使い方を誤れば、危険極まりないものです。しかし、1895年レントゲンがエックス線を発見してから、人類は放射線を有効利用し、この分野の科学、技術は目覚しい進歩を遂げてきたのです。その際たるものが、医療の場での放射線の利用です。胸部X線写真、バリウムを飲んでの胃透視、乳癌検診のマンモグラフィ、身体の断面像ができるCT、腫瘍の早期発見が期待されるPET、そして癌の放射線治療など、これらはすべて放射線の有効利用です。


 それでは現在使用されている医療での放射線がどれほど危険かをお話します。放射線被曝による人体への影響は、確率的影響と確定的影響の2つに分けられます。確率的影響はガン、遺伝的影響をいいます。遺伝的影響の発生は人間では確認されていませんし、また、疫学的調査により医療用放射線による発ガンを心配する必要はないと言われています。確定的影響は白内障、胎児奇形などをいいます。これには、“しきい線量”と呼ばれる影響の発生する最小の線量があり、おおざっぱに言うと250ミリシーベルト(放射線被曝の単位)ぐらいです。たとえば、胸部X線写真は0.1ミリシーベルトぐらいですから、ほとんど問題にはなりません。また、胎児に影響がでるのは100ミリシーベルト(胸部X線写真1000回分を一度に被曝した量)といわれ、一般の検査による胎児奇形の発生する可能性はほとんどありません。


 医療放射線の安全性が少しは理解していただけたでしょうか。以上のことを考慮して、医師は必要と考えられる放射線による検査を施行しています。癌の放射線治療も今後増加すると予想されます。気軽にわれわれに相談ください。


 


国立病院機構善通寺病院


放射線科 須井 修


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